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「ここだな」
夏央が立ち止まったので俺もその場に止まる。
今俺たちの目の前にあるものは、一体なんだろう。血で呪いの言葉が書かれた壁だろうか。白骨化した何かが埋まっている棺桶だろうか。
ガクガクと震えていると、目隠しが解かれた。
これからの展開に戦慄する。恐怖に感情の全てが支配され、俺は目を開けることができなかった。
「げ、良……、泣いてんの?」
目をつむったままポロポロと涙が落ちてゆく。
どうせ俺のこんなみっともない姿も、夏央にとってはおいしい素材でしかないんだろう。
「怖い! もう帰りたい! 何も見たくない!」
恐怖ゲージはとっくに上限を突破している。きっとここからは地獄絵図だ。
だがどうでもいい。動画に使えなくなったとしても、もう俺には知ったこっちゃない。
絶対に目を開けるものか。
「大丈夫だから、目開けろよ」
「嫌だ!」
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