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固く目をつむっていても涙が止まらず、鼻水まで垂れてきた。
悔しい。
なんで俺はこんな惨めな思いをしなきゃならないんだ。コイツのことを好きになってしまった哀れな俺は、一生コイツの奴隷なのか。
「良、怖くないから」
両手で頬を掴まれる感触を覚えたと同時に、夏央の息遣いがすぐ近くで聞こえる。
顔が近い。多分、鼻と鼻の間は1センチくらい。見えないけど、そんな気がした。
だからそれを確かめたくて、恐る恐る目を開けてしまった。
目に映るのは、至近距離の夏央の顔。鼻と鼻の間の距離は、ゼロだった。
触れていたのは一瞬、すぐに俺の顔はクイッと横に向けられる。
「これを見せたかったんだよ。……ずっと」
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