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ありえない。
おかしい。
だってこんな光景、俺は1ミリだって予想していない。
――静寂な闇の中に、ポツポツと輝く光の粒。
涙のせいで視界がぼやけているけど、その美しさは全く霞まない。
俺たちがいるのは、心霊スポットなんかじゃなかった。輝く世界を見下ろせる、神聖な場所だった。
「俺は良といるとドキドキするんだけど、……良もまだ同じ気持ち?」
ああもう、なんだよ今更。ふざけんな。
もう何年もドキドキしてるに決まっているだろ。
「夏央――!」
こんなの質の悪いイタズラだ。悪態をつこうとした時、俺はなぜか夏央にぎゅっと抱きしめられていた。
コイツの心臓がドクドクと脈打ってるのが聞こえる。
『――なぁ、俺、夏央といると、……ドキドキするんだけど』
いつか俺が夏央に言ったあの告白がフラッシュバックする。
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