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夏央とは、中学からの腐れ縁だった。なんやかんやもう10年の付き合いになる。
昔からオカルトとかホラーとか、はたまた都市伝説や陰謀論なんかが好きな変わり者だ。
対して小心者の俺は、同級生たちに置いて行かれないようにと、流行りの漫画やゲームに興味あるフリをして過ごしていた。
そんな時に出会ったのが夏央だった。
「黒川って、『面白い』って言う割りにはいつもつまんなそうな顔してんな。俺がもっと面白いもん見せてやるよ。今からうち来い」
そう言って自信満々に最初に見せてきたのは、2000年ごろにテレビで放送されていたホラーテイストのアニメだった。もちろん当時は赤ちゃんだった俺たちの世代で、普通は話題になることはまずない。
しかしアニメといえどかなりブラックユーモア溢れるストーリーで、怖いことは怖いのだが、それ以上に好奇心が勝った。古い作画も気にならないくらい、俺は夢中になってしまった。
それから同じ高校に入って、帰宅部の俺はしょっちゅう夏央の家に遊びに行った。ただのフリーターとなった今も変わらない。世間の流行りに目もくれず、俺が本気で面白いと思えるコンテンツをアイツはたくさんを教えてくれる。
そして趣味が高じて、夏央は2年前から怖い話をラジオ風に配信する動画を撮り始めた。
雰囲気のある声と独特な言い回しが人気で、今も順調にチャンネルの登録者を伸ばしている。
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