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「真由…君のお兄さんに一度、改めて結婚のご挨拶に伺いたいと思っているんだけど…どうかな?」
ある日の休日、
カフェでランチを楽しんだ後、コーヒーを飲みながら俺から真由にそんな提案をした。
真由には結婚を祝ってもらえる両親がいない。親戚も遠い親戚しかいないらしく、結婚をするにあたって、せめて、両親が亡くなった後真由を親代わりになって育てたという真由の兄に、一度きちんと挨拶をしておきたいと思っていた。
「えっと…お兄ちゃん…?…」
「うん…その、年の少し離れたお兄さん…だめかな?」
「…… … うん… そうだね… ・・・」
一瞬、真由の表情に暗い陰が落ちたような気がした。
「…ん…?何か、まずい… … ?」
「… …えっと… …」
なぜか、真由の歯切れが悪い…
「いやあの、さすがにお兄さんに挨拶なしに真由を妻に…って失礼かな、なんて思ってさ、ほら…結婚式もいずれしたいし、その場合出席してもらうだろう…?当然…」
俺は食い下がる。
「… …そう…だね、・・・わかるんだけど…
えっとね、お兄ちゃん結構毎日…あ、仕事ね…仕事、忙しくしてる人だから、あまり時間取れないかも…あと、お兄ちゃんは私の結婚には、反対しない…っていうか、私の気持ちを一番に優先してくれると思うから…大丈夫だよ、挨拶なんて…」
…結婚の挨拶…
ものすごく重要なことだ…
なぜだろう…
真由の態度は明らかに、後ろ向きだった…
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