3.平凛の結婚式前日

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 「なあ平凛…こうやって空を見ていたら、オレらはちっぽけだよな…」 平凛も夜空を見上げて、 「そうでございますね、ダンナ様…」 と言った。 「オレな、時々思うんだよな。この広い宇宙の中に、オレ達と同じような人類が何兆人かそれ以上いると思うんだよな。その中でさ、この地球というちっぽけな星に生を受けてさ、虫でも動物でもなく「ヒト」として生まれて、さらにこの地球上でたった一人の相手と出逢える確率って、すごい数字になると思うんだよ…。 「…」 平凛はいつになく無口だった…。  その夜は二人で抱き合って寝ていたら、知らない間に朝になっていた…。  結婚式当日、朝食後に平凛が是真さんを訪ねると言うので、オレは遠慮して部屋で待つことにした。  「おじい様…よろしいでしょうか?」 「う…うむ、…入れ…」  是真の超絶和風な部屋に入るなり平凛は正座をし、三つ指をついて、 「おじい様、(わたくし)は今日、嫁いでまいります。わずか16年間でしたが、私はおじい様に育てられ大きくなることができました…」 「ウ…ウム…(グシュ)」 是真は既に涙をこらえながら上向き加減でそう言った。  平凛の妹、汐音(シオン)が生まれてすぐ、両親は海外赴任となってしまい、メイドがいるとはいえ、是真さんが一人で姉妹を育ててきたことになる。  そんな親代わりの是真だったので、感慨深いものがあった。平凛は続けて、 「私は岡野に嫁ぎますが、汐音が家を継いでくれるので、淋しくはないでしょう。それに私は、おじい様の言いつけを守り、これからも時々顔を出しますので、どうかご安心なさって下さいませ。今までのこと、大変感謝しております。本当にありがとうございました」 と深々と頭を下げた。  是真はそれを聞き終わる前に既に大泣きだったが、 「う…うみゅ…岡野殿を…(グシュ)…しっかり支えていくのじゃじょ…」 とそれだけ言うと、うつむいてしまった…。 畳に涙がボロボロと落ちた…。 平凛もつられて涙が頬を伝った…。
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