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「じゃあさ水口、かわいそうだからもらってやるよ、第二ボタン」
「え、なにそれ」
「第二ボタンっていっても、ブレザーだけどな。お前どこねらってんねんっていう」
「はは……本木くんの関西弁がうつってるよ」
「あとさ、これ」
「え?」
「おれの第二ボタン」
手のひらに、黒野くんのボタンがおさまる。
「うわあ、何か……」
「何?」
「……何か」
めっちゃ、すきってこと?
と思って、
「第二ボタン交換するってこと?」
と、はぐらかした。つもり。
「あっ、そうか。じゃあこうしよう」
と言って、黒野くんはおもむろに僕の首元から、するり、ネクタイをほどいた。
「あっ」
と、変な声になってしまった。黒野くんの指がちょっと、僕の首にさわったのだ。
「……おれネクタイもらうわ。ていうか。あれ。赤くなっちゃって」
僕は下を向いた。だめだ、このままだと、体が反応してしまう。
「ははっ、どうした、水口」
「な、なんでもないよ」
「ほんとに? ねえ何考えたの、今」
「いや、何も、ちょっと、こそばかっただけ……」
「ふーん? へー? まじ、かわいー。心配しなくてもこれ以上脱がさねーし、はは」
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