14.合格発表

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14.合格発表

 翌日。  信じられないけど、合格していた。  何度も見返した。  でも何度見ても、僕の番号は、合格していた。  僕は三回ジャンプして、そして親に連絡した。学校にも。  そして最後に、黒野くんにも連絡を入れた。 (合格したよ)  しばらくしてから、黒野くんから返信があった。 (おめでとう〜!)  スタンプ付きである。 (で、どこ大だったの、結局?)  ちょっともったいをつけつつ、大学名を知らせると、黒野くんからビデオ通話の着信が来た。 「え、お前、まじで言ってんの?」 「うん」  自信を持って言える。 「ひえ〜、まじかよ……すげーな、確かに賢かったけど……そこまでとは」 「うん。おれも信じられないけど」 「……で、京都なんだ」 「……うん」 「そっかあ、京都……行き先、一緒だったんだな」 「うん」  黒野くんは笑顔で、僕を眺めている。僕もどうしても笑顔になってしまう。  言うしかない、と思った。言うなら今だ。 「黒野くん」 「ん?」  黒野くん。 「すきだよっ」 「……え、急に何、水口」  黒野くんはにやにや笑っている。 「赤くなっちゃって。また、耳まで赤くなってんの」  赤いよ、首まで熱い。  でも、やっと言えた。  ずっと言いたくて言えなかったことが、やっと言えたんだ。  解き放たれた言葉は案外身軽に、スマホをくぐって電波の向こう側まで飛んでいった。  僕の心も軽くなった。  ありがとう、と、黒野くんは答えてくれた。
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