XI

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その後、社内の至るところで佐久間と遠藤さんが付き合ってることが噂されるようになった。 さすがに佐久間本人には聞けなくてモヤモヤ。 噂を聞いた1週間後の夜、心先輩が『急だけど、明日仁奈と女子会することになったから来る?』と誘ってくれた。 あたしは速攻行きます!と返事して、女子会に何を着ていこうかとクローゼットを開け放して仁王立ちした。 「……急にどうした、何してんだ美優」 「明日女子会してくるわ」 「なんで目がぎらついてんだよ、テンションおかしいぞ」 ベッドに寝転んでウトウトしてた昴は何事かとあたしを凝視する。 テンションおかしいのは仕方ない。 そう思いながらクローゼットの中を探る。 うーん、本格的に引っ越した時にだいぶ服捨てたんだった。 どうしよ、何着ていこうかな。 「美優、早くこっち来いよ。美優がいないと眠れない」 「あたしは抱き枕じゃないんですけど。 それにまだ22時ですけど。寝るには早いから、寝るならひとりで寝て」 「……ひどい嫁だな。美優が甘えたい時に同じように突き放してやる」 昴の機嫌悪そうな声がして振り返る。 目が合うとじとっとあたしを睨んだ後、そっぽを向いてしまった。 えー、拗ねちゃった?かわいいんだけど。
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