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「何があったのですか?!」
「あ…… 」
途端、倒れる前の事を全て思い出した。
私、クラウス様の匂いを吸い込むだけ吸い込んで、吸い込んで、吸い込んで……。
……吐いた記憶がない。
馬鹿なの?、私。いくら推しが良い匂いだったからって、呼吸するのも忘れるだなんて。挙句、気を失って倒れるだなんて変態過ぎる。
バタンとまたベッドに倒れた私に、「きゃー!お嬢様っ!! 」といつもは冷静なアンナが叫ぶ。
「いいのよ、アンナ。私、真性だって分かったから 」
まぁ、薄々は知ってたけど。でも、勿体なかったんだもの……、とそこで重大なことに気が付いた。
「私、やったわ! 」
「お嬢様? 」
また、ガバッと起き上がった私にアンナが不思議そうな顔をしている。
私は思わずアンナの手を握った。
「私、アドルフお兄様の為に、クラウス様と結婚することにしたわ! 」
私の言葉に、アンナが驚きの余り、これ以上ない程、目を見開いている。
驚いているわね。そうでしょう、そうでしょう。私の手柄を讃えなさい。
「あの、お嬢様? 」
「私、クラウス様に求婚されたのよ。勿論、お受けしたわ 」
あら?今、ドアが開いた音がしたけれど。
ドアの方向を見ると、そこには茫然としたアドルフ様が立っていた。
「あっ、お兄様。良い所に! 」
両手を胸元で合わせると、ツカツカとアドルフ様がこちらへ向かってきた。
顰めた眉に、何か怒っているのだと気付く。
「お兄様、どうなされたの? 嬉しいお知らせがあるのよ。そんなお顔、なさらないで? 」
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