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笑っていよう、クズだとしても。
東京。冬。
渋谷…午前2時。
路地裏にて。
「おーい、立てよ!!ゴラァっ!!」
「とっとと金出せ雑魚wwww」
「これネットあげたらバズるんじゃね?w(炎上)」
少年が3人の男の集団に殴られていた。
頭から血を流すほどの暴力を受けており、周囲に所々小さく血痕が見える。
「………」
それでも少年は黙っていた。
その光景を見て、何故か胸が痛くなった。
「………………」
ここにいてはいけない。
避けなければ。
早歩きで路地裏を抜けようとする。
「…はっ…はははは、」
私の足は止まった。
殴られていた少年が笑いだしたのだ。
あぁ、彼は生きていた。
「本当に弱いのはお前らのほうだよ…!」
少年が突然声を上げる。その発言に一人の男がブチギレる。
「あぁッ!?ンだとテメェ!もっぺん言ってみろクソガキ…!!」
「だから…!お前らの方が弱いんだって…!!だって…、1人じゃなんにもできないんだから…ッ」
少年は言い終わる前に頬を殴られてしまった。
「あーあ…怒らせるからァ〜w」
「こりゃ死んだなw」
少年はビクともしなかった。
死んでしまったのだろうか。
男たちは笑いながらその場を去っていった。
『ねぇ』
少年は黙ったままだった。
少年の体に触れると冷たかった。
やはり死んでしまったのだろうか。
私は諦めて立ち上がった…と思いきや少年にいつ間にか手を掴まれていた。
「いくな」
『?』
掴んだと言えど、ボロボロになった少年の手は
震えていて今にも離れそうだった。
『なに』
「お前、さっきの、見てただろ」
『見てたけど、なに?』
そう言うと少年はため息をついた。
ようやく少年の手が離れ、私は自由の身になった。
けれども私の足は思うように動かず、私は少年を見下ろしていた。
「見て見ぬフリ?」
『……』
口が開かなかった
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