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03.瞼 リアムと慶一朗
意識が軽く浮上し、その原因を探った時、隣から鼻を啜るような音が聞こえ、肩越しに振り返るといつもは人を圧倒するような大きな身体を小さく丸めて肩を振るわせる恋人がいた。
どうしたと疑問を口にするよりも先に寝返りを打ってハニーブロンドの頭を抱え込む。
「悪い夢でも見たか?」
「・・・だ、いじょう・・・」
「今のお前を見て大丈夫だと判断する奴の目は節穴だな」
怖い夢を見たのならばそれはどうすることもできないことだ、だからそれを恥じるなと囁き、涙が溜まる目尻にキスをすると、瞼がきつく閉ざされる。
その瞼に二度三度とキスをすると、涙が流れ落ちた後、はにかんだ笑みが口元に浮かぶ。
春夏秋冬、いつでも青空の下で見ていたい笑みに自然とこちらも笑みを浮かべてしまう。
「もう寝ろ、優しい王子様」
「・・・うん」
お前がいつも言ってくれるように夢の続きは見たくとも見れないのだから、次に見る夢はきっといい夢だと笑いながらもう一度少し湿り気を帯びた瞼に口付けると、背中に回った手に力がこもる。
「ダンケ、ケイ」
「朝飯はフレンチトーストがいいな」
「・・・うん」
「早く寝ろ、甘い王子様」
少しのからかいを込めた言葉に背中を一つ叩くことで仕返しをしたらしい恋人だったが、素肌の胸に穏やかな寝息がかかり、それにつられるようにあくびをひとつして同じように目を閉じるのだった。
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