01. 髪 リアムと慶一朗

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01. 髪 リアムと慶一朗

 いつものように食後のコーヒーを飲んで穏やかにテレビを見ている時間、ソファやクッション代わりに凭れ掛かっている分厚い胸板が一際大きく上下した気がし、どうしたと振り返るように顔を振り向けると髪にキスをされる。  そのキスが己に安堵をもたらすものだと気付いたのは付き合い出した早々だった。  その安心を今も感じていると、楽な姿勢を探すように身じろいだ為、重いかと問いかけつつ背中を浮かせると、楽な姿勢になったらしい逞しい腕が緩く顎の下で交差する。  「気にするな」  その言葉を上目遣いで聞き入れ、安心を求めるように寄りかかるとしっかりと受け止められ、たった今テレビから得た情報についてどう思うと問いかけてきて。  お前といればどんな事があっても不安を感じずにすむ、そう言いたかったが言えるはずもなく、ただ顎の下で交差する腕に手を重ねるのだった。 93e5ffea-5980-496e-a968-5b5ecd936013
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