130人が本棚に入れています
本棚に追加
ハートを飛ばすな、ハートを。
「で、私たちって……」
「こういう仲だよ」
ローレンスはにっこりと笑い、マリエの頬にキスをした。
そうですよね。そうなっちゃったんですよね。ほんとうに申し訳ございません。
この男は、弟の親友で、幼なじみのローレンス……。私はローレンス、君を、弟の大事な友人を食っちまった……んですね。
「マリエ、顔色が悪いな。心配だなあ。このまま、ずっとうちにいる? 俺は全然構わないよ」
ローレンスはマリエの頬に自分の頬を擦り寄せた。
ローレンスの圧を感じたが、マリエはプルプルと頭を振る。
「もしマリエが帰るというなら、僕が屋敷まで送ろう」
ローレンスがマリエの手をにぎにぎする。
おい、にぎにぎするな。弟の友人が、幼なじみが甘い。甘すぎる。どうしてこうなったんだ? 誰か、誰か教えて。
「僕がみんなに説明するから。大丈夫。マリエは何も心配しないで」
ローレンスは唇に弧を描き、柔らかく緑の目を細める。その奥には何か陰謀がありそうに見えるのは気のせいか。
怖い。怖すぎる。なんなのその目……。
マリエはぶるっと身震いした。
ローレンスはマリエの艶やかな茶色の髪を一房とり、口づける。
***要らぬ豆知識
ローレンスのモットーは、捕まえたら逃がさない。欲しいものは得るです。
最初のコメントを投稿しよう!