11ローレンスの御祖父様ベスタ―伯爵にご挨拶

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そうは言うけど、君たち三人より私は年上なんだけど。いいんだろうか。 ううう、ダメだ。ここは私が筋を通さねば!ちゃんと言えるだろうか。 マリエが気合をいれていると、馬車は無情にもローレンスの屋敷に着いたと告げた。 ドッキドキ。ひー、私大丈夫だろうか。心臓が口から出そう。 馬車から降りて、手足をギクシャクさせながら歩く。 「お待ちしておりました。旦那様と奥様がいらっしゃるお部屋にご案内します」 家令のタバスがマリエの顔を見て微笑んだ。昔と変わらず、私や弟のフランソワにも優しい。 ローレンスとキミーの屋敷は相変わらず大きくて、華やか。大きな花瓶に季節の花々が溢れんばかり飾ってあり、エントランスホールを鮮やかに彩っている。由緒ある伯爵家の体面を取り繕う大事な玄関だ。 昨夜もお邪魔したはずなのに、まるで覚えていない。 昔と変わっていないのは、壁にかけられていた織物や肖像画。懐かしいな。 ちょっと気持ちも落ち着いてきた気がする。 ふー、はー。 マリエは深呼吸をした。 家令のタバスは扉に向かう私たちを向かって、「健闘を祈ります」と呟いた。 「ご無沙汰しております。マリエと弟のフランソワです」 ローレンスとキミ―の御祖父様、御祖母様の顔を見ながらご挨拶をする。 あー、何を言ったらいいのか、さっぱりわからない。しかし、言わねば! 「あー、あー、あの! ご子息とご令嬢を私にください」 勢い余ったマリエは頭を豪快に下げる。 フランソワが「姉さん」と言って首を横に振る。 あれ? ちがった。そうだ。 「あ、キミ―と婚約させてください」 おいおい。私、大丈夫か。 キミーと婚約はフランソワだ。 私は……。 「あ、すいません。ま、間違いです。えええっと、フランソワをローレンスと婚約させて……」 違ったぁ! 完全に間違えた!! 「ちょっと、姉さん落ち着いて。大丈夫だから」 「マリエ、少し落ち着こう」 フランソワとローレンスが私の両脇を囲んだ。 「お姉さま! 頑張って!」 キミーのハートマークの目がマリエに向けられ、フランソワがマリエの前に進み出た。 ハートは僕のものにしたいらしい。やれやれ。 「僕とキミ―嬢を婚約させてください」
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