12 デビュタント

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冷や汗ダラダラだわ。脇汗が心配。このドレス、好きなの。ローレンスが贈ってくれたもの。 ああ、オーケストラの音楽が流れ始めた。、よかった。 少しずつ騒めきが戻ってくる。 これって、修羅場ってやつ?? 初めてだよ。 こういうのは、経験したくないね。全然よくない。 平和が1番だよ。とはいえ、ローレンスのことが好きと自覚したのに、婚約破棄とかされてはたまらない。 ここは私も闘うべきなんだろう。何ができるかわからないが。 よく観察して、隙を見て逃げる? 「ローレンス様、結婚は貴族の責務よ」 レイラは扇を広げて口元を隠す。 「ああ、そうだな。そういう見方もある。残念ながらうちは貴族の結婚に重きをおかなくても充分な家だ。だから、君がなにをいおうが、そんなメリットよりも、マリエだ。マリエとしか俺は結婚しない」 ローレンスは以後レイラのことは無視することにしたみたい。ローレンスはマリエをわざと熱く見つめ、私の頬は両手で包み込んだ。それから見せびらかすかのように、丁寧にそっと額に唇を落とした。 レイラが大きなため息をついて、周りの御令嬢方に味方になるよう視線を投げかけ始める。 やばい。泥沼になる! そうだ! 庭にでも行く??  それとも帰る? あ、キミーとフランソワはまだフロアで踊っているわ。しかも、幸せそう。 これは無理だな。帰れないよ。 よし、バルコニーか、庭だ。 ローレンスの袖を引っ張ろうとした時 「やあ、何を揉めているんだい? こんなおめでたいデビュタントで。マリエ嬢、来ていたのか。相変わらず楚々とした美しさ。パートナーが羨ましいね」 ヴィンセント・グランフォートが穏やかな笑みを浮かべて近づいてきた。 隣国のグランフォート侯爵の息子で、おじいさまの取引先でもある。ややこしくなる予感しかない。 助け舟というより泥舟。こういう時はそっとしておいてほしかったぁ。しかし、無碍にもできない。 仕方なくマリエは愛想笑いを浮かべると、ローレンスはヴィンセント・グランフォートを睨みつけた。 ううう、なんでこうなった? 「ヴィンセント・グランフォート様、今宵はお会いできて光栄です」
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