13ローレンスの企み

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「俺はマリエと結婚するから、婚約証書と婚姻届けに今すぐサインしておいて。バリー様も証人の欄にサインしてください」 「マリエがうんと言ったらだぞ?」 「もちろんです」 その自信はどこから来るのかと不思議そうにじじいに見られたが、マリエを他の男に渡す気はない。 例え明日断られても、明後日申し込めばいい。そしていつか結婚するのだ。 あとはローレンスとキミ―にも言っておこう。フランソワはいいとして、キミ―がごねると面倒だ。あいつはあれでもマリエのことを相当慕っている。 「ローレンス、キミ―。俺は明日マリエに結婚を申し込もうと思う」 「とうとうだね」 フランソワは目を輝かせた。 「僕もそろそろと思うんだ」 「ああ、決め所だな」 フランソワとガッチリ腕を組む。 「えええ! マリエ姉さん、結婚しちゃうの? いやだな。もうあそべないじゃないか。マリエ姉さんにうんと言わないように言ってくる!」 「おまえは双子の兄の幸せをつぶす気か!」 「兄の幸せより、私の幸せの方が大事に決まっているじゃないか! バカなの?」 キミ―が激昂した。 「キミ―、いいかい? 姉さんがローレンスと結婚した場合と、他の男と結婚した場合を考えるんだ。どっちのほうがキミ―と遊んでもらえる?」 「うううう。そうだけど。ローレンスとの方がましだけどさ」 「そうだろう? 姉さんにはいろんな国から見合いの話が舞い込んできていてさ」 「は? そんなの聞いてない」 キミーとローレンスの顔が引きつった。 「だって、おじいさまが止めていたから。でもぼくらも卒業だから、そろそろ見合いの話や婚約の打診が本格化する予定だ。もし姉さんが外国に行ったらどうする?」 フランソワがキミ―の肩をなでる。 「そうね……。それよりうちの愚兄の方がましかも」 「そうだろ? だからさ、応援してやろうよ」 愚兄言うな。 「姉さんが結婚しない方が普通に遊べるんだけど」 キミ―がぶつぶつ文句を言う。 「それに、僕らが親戚なれば、姉さんはずっとキミ―の姉さんになるんだよ」 「そっか。そういうことか。それで、近所に住んでもらえばいいんだ」 キミ―の中でローレンスとマリエの新婚生活場所が決まったらしい。満面の笑みを浮かべていた。
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