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「俺はマリエと結婚するから、婚約証書と婚姻届けに今すぐサインしておいて。バリー様も証人の欄にサインしてください」
「マリエがうんと言ったらだぞ?」
「もちろんです」
その自信はどこから来るのかと不思議そうにじじいに見られたが、マリエを他の男に渡す気はない。
例え明日断られても、明後日申し込めばいい。そしていつか結婚するのだ。
あとはローレンスとキミ―にも言っておこう。フランソワはいいとして、キミ―がごねると面倒だ。あいつはあれでもマリエのことを相当慕っている。
「ローレンス、キミ―。俺は明日マリエに結婚を申し込もうと思う」
「とうとうだね」
フランソワは目を輝かせた。
「僕もそろそろと思うんだ」
「ああ、決め所だな」
フランソワとガッチリ腕を組む。
「えええ! マリエ姉さん、結婚しちゃうの? いやだな。もうあそべないじゃないか。マリエ姉さんにうんと言わないように言ってくる!」
「おまえは双子の兄の幸せをつぶす気か!」
「兄の幸せより、私の幸せの方が大事に決まっているじゃないか! バカなの?」
キミ―が激昂した。
「キミ―、いいかい? 姉さんがローレンスと結婚した場合と、他の男と結婚した場合を考えるんだ。どっちのほうがキミ―と遊んでもらえる?」
「うううう。そうだけど。ローレンスとの方がましだけどさ」
「そうだろう? 姉さんにはいろんな国から見合いの話が舞い込んできていてさ」
「は? そんなの聞いてない」
キミーとローレンスの顔が引きつった。
「だって、おじいさまが止めていたから。でもぼくらも卒業だから、そろそろ見合いの話や婚約の打診が本格化する予定だ。もし姉さんが外国に行ったらどうする?」
フランソワがキミ―の肩をなでる。
「そうね……。それよりうちの愚兄の方がましかも」
「そうだろ? だからさ、応援してやろうよ」
愚兄言うな。
「姉さんが結婚しない方が普通に遊べるんだけど」
キミ―がぶつぶつ文句を言う。
「それに、僕らが親戚なれば、姉さんはずっとキミ―の姉さんになるんだよ」
「そっか。そういうことか。それで、近所に住んでもらえばいいんだ」
キミ―の中でローレンスとマリエの新婚生活場所が決まったらしい。満面の笑みを浮かべていた。
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