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「キミ―、僕らの親戚の力を強固にしたくないかい?」
フランソワがキミ―に提案をし始める。
ローレンスはよそを向くようにして、フランソワに「頑張れよ」と口パクした。
こうして、根回しはすんだ。
あとはマリエがサインして、王家に出せば結婚も成立する。
はははは。
マリエ、待っていろよ。
ローレンスは明日の卒業式のあとのパーティーを夢想しながら、床についた。
卒業式が終わり、パーティーが始まった。ダンスを促す音楽が流れ始まる。
ローレンスは決死の覚悟でダンスに誘うことにした。ダンスしないと言ったら、一緒に馬車に乗って帰ればいい。帰ってから結婚を申しむのもいいかもしれないな。
グランフォート伯爵と息子のヴィンセント・グランフォートがマリエとバリー様と話している。
嫌な予感がする。ぜったいマリエを狙っているだろう。バリー様は俺に視線をくれて、ニヤリと笑った。
ぜったい楽しんでいやがる。
ちょっとムカついたが、それどころでない。マリエが奪われるのかと思うとぞっとした。
なんとかマリエをダンスフロアに誘い、踊りだすことができた。マリエの顔や首はすぐそこにある。ふんわりといい匂いがした。ダメだ、マリエをぎゅっとしたい。
手は白くて小さくて、腰は細い。黒曜石のように煌めく瞳。薄紅色の頬。
ああ、全部尊い。マリエが好きだ。
「じゃ、一生の思い出にする。マリエも一生忘れるなよ」
あまりにもマリエがかわいくて、思わずマリエにキスをした。
驚いたマリエも可愛かった。
「マリエ、もう一回」というと、「うん?」と言って、マリエはローレンスを上目遣いで見る。
誘っているとしか見えない。
ローレンスは自分の耳が赤く熱を持っていることがわかった。
「マリエ……、もう一回したい」
マリエと2回もキスしてしまった。
ふ。ああ、もうこの瞬間を永遠にしておきたいものだ。悶絶したいが、ここは公の場。我慢、我慢。
君は女神だと思って踊っていたら、1曲目が終わっていた。
よし、2曲目だ。
マリエに尋ねるといいよと言ってくれた。
しかし、災難が起きた。
じじいが俺を呼んだのだ。余計なことをしてくれる。
ローレンスはじろっとベスタ―伯爵を睨んだが、本人はどこ吹く風だ。
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