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「そうなの。すぐにとれば大丈夫だけどね。簡単なおもちゃだけど、隣国ではなかったみたいで……。でね、花型のものをつくってみたの。サンプルよサンプル」
「ああ、マリエ、もうそれ取らないと。痕が付くぞ」
「へへへ。あ、ついちゃった。ほら、みて」
「そんなところに痕をつけちゃだめだ」
ローレンスが眉を顰めると
「ふふふ。お母さんみたい」
マリエはもう一か所腕に赤い花を吸い付かせ、痕をつかせた。
「見てみて! もう一個できた!」
「マリエ、昔痕をいっぱいつけて、病気みたいと泣いただろ? もうやめような」
ローレンスが取り上げようとすると、マリエはいやいやと首を振った。
「あと一回だけ」
「朝起きた時、びっくりするぞ?」
ローレンスは呆れたようにマリエを見る。
「大丈夫、大丈夫。だって、ローレンスがいるもん。ローレンスかっこよかった。すごくよかった。キスしちゃった」
マリエはふふふと笑いながらベッドの中に潜り込む。
やれやれ。
ローレンスは優しくマリエを見守る。
俺たちが大きくなるまで、まあ、おもにフランソワが学校を卒業するまでだが、マリエも頑張ってくれていたからな。緊張の糸が切れたんだろうな。しかもこんなに幼げなマリエ、初めて見る。可愛すぎ。素晴らしい。
飲ませる時は、絶対家で飲ませよう。
ローレンスは心に決める。
「シーツがひんやり~。これも暑いから脱いじゃえ」
「もう寝ろ。酔っ払い」
ローレンスはマリエの鼻をつまむといやいやとシーツをかぶる。
マリエ、愛している。
マリエ、好きなんだ。
かわいい。
ああ、マリエしか勝てん。
ローレンスは苦笑する。
「ローレンス、好き……」
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