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「あんたたちは、学校の準備するのよ? 仕事から帰ってきたら、チェックするからね」
「はーい。ちゃんとやっておく! マリエ姉さんのこと待ってるね。お仕事頑張って!」
キミ―はマリエのことを頭をなでてほしそうにじっと見た。
キミ―はローレンスの双子の妹だ。
反抗期真っ盛りのフランソワやローレンスと違って、素直で可愛らしい。
おまけに、ピンク色の綿菓子のようなふわふわとした髪をしている。
マリエがキミ―の頭をなでると、キミ―は嬉しそうな顔をした。
こんなかわいい子が入学して早々困ったことになったら、かわいそうすぎる! 忘れ物がないようにしてあげないと! それに、モテすぎて男の子に絡まれたら大変だ。
マリエはキッとフランソワとローレンスを見た。
「男子たち! いい? キミ―を護るんだよ」
「分かってるよ、姉さん。任せといて」
フランソワは真顔で応える。
「俺はマリエを護るから」
ローレンスはにこりと笑った。
え? おい? ちがうだろ?
マリエが眉を顰めると、ローレンスは笑顔を崩さず見つめてくる。
私が言ったのは学校生活での話で……。
ええと、まあ、相互助け合いというなら、それでいいのかもしれない。そういうことにしよう。
「フランソワもローレンスも頼んだわね。じゃあ、行ってきます」
マリエはおじいさまのところへ向かった。
おじいさまはマリエに「通訳だけでなく、いろいろなことを学びなさい。人生は勉強だよ」と言って、子爵領の経営も商会の仕事も任せてくれている。
マリエは父と母が亡くなってから通訳として、そして領地経営に携わることになった。
毎日が飛ぶように過ぎていく。
勉強したことが仕事に生かされていく快感を覚え、夢中で仕事をした。
もちろん、フランソワやローレンスとキミ―の学校行事にも保護者として出席した。武術大会にはフランソワとローレンスが出場し、体育修練大会にはキミ―も出場した。
フランソワは準決勝まで、ローレンスは決勝まで進み、隣国の留学生と同点で引き分けとなった。
すごいぞ、うちの男子たち。
保護者席も大盛り上がりだ。
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