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マリエの不意打ちにローレンスはカッと目を見開いた。
マリエを見るが、マリエはまた夢の中へ行ってしまっていた。
「マリエ、もう一回言って? 」
「好き」
「ねえ、マリエ。じゃあ、結婚する?」
「……」
「マリエ、起きて! 他の人と俺、どっちと結婚する?」
「……、バカねえ、ローレンスに決まってるでしょ。好きよ、おやすみ」
意識戻ってたよね?
もしもし、マリエ? ああ、ゆさぶっても起きやしない。
しょうがない、俺も着替えて……、マリエが起きたら軽食でもつまむか。
ローレンスは自分も疲れていたことに気が付いた。
俺も少し寝よう。
ちょっとベッドの上に腰掛けたつもりだったが、次に起きた時は朝だった。
マリエがもぞもぞと動き出し、ローレンスの意識も起き始めた。
「おはよ。マリエ」
ローレンスはマリエの首筋に顔を寄せ、「マリエの匂いだ」とつぶやく。
「……、ちょ、ちょっと」
「せっかくの朝なのに、どこに行くつもりだったの? 俺を捨てる気?」
眠そうな目をこすりながら、悲し気な視線をマリエにおくる。
まるでキュンキュンと寂し気に訴える犬だ。自覚はある。この純粋無垢風な目にマリエは弱い。
「ローレンス」
「マリエ……。夕べは大丈夫だった? どこも痛くない?」
「え? ええ?」
マリエはこめかみを押さえる。
「二日酔いだね。そんなに強くないんだから飲んじゃダメだよ。あ、俺の前ならいいけど。酔ったマリエも可愛いから」
「で、私たちって……」
「こういう仲だよ」
ローレンスはにっこりと笑い、マリエの頬にキスをする。
「僕がみんなに説明するから。大丈夫。心配しないで、僕と結婚しよう。婚約しよう」
「……うん。あのさ、昨日私……」
ローレンスと結婚……。婚約……。いいのか? いいのか? 私。ところで、やったのか? やっちまったのか? どっちなんだ?
「泊まったことなど、細かいことはどうでもいいでしょ。まずは俺たちの気持ちが通じ合ったことの報告だよ」
もう文句は言わせない。マリエと結婚する。そっか、素面でマリエに言ってなかったか。
ローレンスは腹黒い笑みを浮かべている。
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