14ここはどこ? あの日の真実

6/8
前へ
/75ページ
次へ
貴族の娘として、乙女でいなければならなかったのに。私ったら性欲に負けたのよ。この私が……。そして、ローレンスと……。ああ、考えたら胸が苦しくなってきた。 「マリエ、震えてる?」 「うん、だってあの日、とんでもないことをやらかしてしまったんだもの。ローレンスの操を奪ったんでしょ」 ローレンスが私を襲うとかはないもの。口は悪いけど、いつも優しくて親切だもの。やらかしたとしたら、私だ。 「うん??」 ローレンスはちょっとだけ黒い笑みを浮かべている。 黒い笑顔も素敵。かっこいい。ふう。イケメンは何をしても様になるな。くそお。くやしい。 いかん、黒い笑みということは、肯定なんだよね。 「だって、私、ローレンスのベッドにいて、下着だった……。ローレンスは裸で」 「まあ、それは……。そうなんだけど」 ローレンスは引きつり笑いをする。 「なんか、つまりやっちゃったってことだよね? ほんとうにごめんって」 マリエはローレンスの腕をつかんで揺さぶる。ちなみにローレンスは大きいうえに体幹がいいのでびくともしない。 むきになってマリエはローレンスの身体を引っ張るが、動かない。 ローレンスは面白そうに笑いながら、マリエをギュッと抱きしめた。 「マリエ、誤解しているようだけど、そういう意味では何もなかったよ」 「え?」 マリエはびっくりした。 「まあ、正確に言うとあったんだけど」 どっちなのよ。 マリエは眉をしかめる。 「どういうこと?」 「だから、マリエが心配しているようなことはないけど、何もないわけではないってこと」 やったかやってないのかの問題は、やってないってことですか? マリエはぱあっと目を輝かせた。 やってない。そこまで私は酔っぱらっていなかったのだ。もう金輪際アルコールは口にしないことにしよう。 「つまりやってない……ってことだよね?」 マリエは上目遣いでローレンスを見る。 「俺たちの浪漫をそんなふうに言うなあれは崇高なる浪漫だ」 ローレンスはサッと顔を赤くした。 いや、浪漫ではないと思う。 マリエは赤面する。 くう。可愛すぎるだろう。こんなかわいいローレンスがみられるなんて。 「でも、赤い花が腕についていたけど。それに下着だった」
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

130人が本棚に入れています
本棚に追加