プロローグ

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プロローグ

視界が真っ赤に染まってしまうほどに鮮烈な夕暮れ。 はあ、はあ、と荒い息遣いは自分のものだ。いつもの夢なのだからもうそれくらいは分かる。 自分は迷子になっているのだ。 父に連れられて来た家ではぐれ、迷路のような庭園に迷い込み、必死に薔薇の木でできた垣根の間を走っている。薔薇の色も、夕日と同じ赤だ。 そう、この夢は赤い夢。
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