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復讐したいと思っていたはずなのに、気づけば許していた。これが惚れた弱みなんだろう。
「凌もかわいくなっていいんだよ」
和叶はすぐに格好つける凌の呪いを解こうとする。好きすぎて別れる? とは思うけど、そういう変な方向に頑張ってしまうのならば凌に魔法をかけてあげないといけない。幼い和叶を護るために、長い間、見栄を張ってきた凌。今の目標は猫の姿で見てきた凌の素を人間の姿でも引き出すことだ。
「かわいいのは和叶だけでいい」
凌は少しだけ甘えては、すぐに大人な距離を取る。そうやって、和叶の反応を伺うやり方を繰り返していた。
「なぁ、凌。思ったことを溜め込むなよ。一人で抱え込まないで僕にも話してくれ」
真面目な話は苦手だった。苦手なフリをして逃げていたのもある。だけど、これからはちゃんと凌に向き合いたい。
「……」
凌は口を開き欠けて、また閉じる。
「なんか、罪悪感がすごい」
「なんの罪悪感なんだよ」
凌は無言で涙ぐみながら和叶を抱きしめる。
「つうか、今さらだけど猫になった和叶にあれこれぶちまけていたかと思うと俺……」
「そーいうの無しって言ったよな?」
和叶は凌の口を塞ぐようにキスをした。すると、ベランダに何かの影がよぎる。目を凝らして見れば、猫だった。
「ちゃんと向き合うから」
近すぎる距離ゆえに話さなくても通じると思っていた。自由気ままに生きている猫を見て、なんて楽な生き物なんだろうと羨ましく感じていたが違った。見守るだけは性に合わない。凌が困っていると分かれば助けてあげたくなる。
すると、ベランダにいた猫が返事をするように「にゃあ」と鳴いた。
(=^..^=)おわり(=^..^=)
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