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【名前】リュウト・タチバナ
【種族】人間・神
【性別】男
【年齢】16
【レベル】∞
【体力】∞ / ∞
【魔力】∞
【攻撃】∞
【防御】∞
【知能】∞
【魔法】全属性魔法レベル∞(MAXレベル100)
【称号】
異世界転移者
本当の真の勇者
神の使者
神代行
真の神
地上最強の冒険者
【スキル】
全知全能(レベル∞)
※このスキルを持つ者は、自身が認識しうる全てのスキルを自在に操ることが出来る。
「うん、帰れ」
アルスはそう言うと、指をパチリと鳴らす。
すると次の瞬間、ユリアスは店の扉の前へと転送され、後ろから扉が厳重にロックされる音が聞こえ目を瞬かせた。
「……へ?」
気の抜けた声を出して後ろを振り向くと、先ほど招き入れられた扉の前に立っている事に気が付く。
そして扉付近に立てかけてあったウェルカムボードに「get out!!」と大きく描かれていた。
ユリアスは、一体自身の身に何が起きたのかがわからず呆然と立ち尽く──
「ちょっとおおおおおおおおおお!!!!
私の願い叶えてくれるんじゃなかったん
ですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
──す事なく店の扉を叩く。
もはや所在を確認する為の叩き方ではない。確実に店を破壊する勢いである。
「見せろって言ったのそっちじゃないですか!! 私はただ情報提供しただけですよ!? それなのにこの対応……! これは詐欺! 詐欺だ! 訴えるぞこのクソペテン師!! 扉開けろオラ!!」
「誰がペテン師だこのクソアマァ!! というか無理に決まってるだろこんなバカみたいなステータスしたヤツ相手とか!! 無理無理無理無理!! どう考えても無理だわこれ! もう諦めよう!! 諦めて君がシロヴィアの代わりに体売ろう!! それで全て解決するから!!」
「するわけねーだろ!! それ私の貞操がただ無駄死にするだけじゃないですか!! それするくらいだったら自害するか友を売りますよ私は!!」
「おい、この女死んだ方がいいんじゃねーのか?」
「炭治郎ーッ!! 柱の人ーッ!! ここに鬼舞辻無惨ばりのクソやべー鬼がいるんで早く狩りに来て下さいお願いします!!」
「誰が鬼ですか!! というか仮に私が鬼だったとしても禰󠄀豆子みたいに可愛くて優しい鬼だから大丈夫ですよ!!」
「遺言は死んでから言え!!」
「死んでからだと言えねーだろ!! あと遺言は言うものじゃなくて遺すものですよ!!」
「ならもう何も遺さずにさっさと死ねや」
「ドラコさんさっきからただ辛辣なだけですよね!? ツッコミ放棄してますよね!?」
──と、元はバリバリのツッコミ役になる筈だったユリアスがそんな事をほざく。今では信じられないくらい汚い言葉を使うようになってしまったヒロイン(笑)は、マジで店を破壊しようと腕に魔力を込め始める。
もはや彼女がここに何しに来たのか、読者が忘れるレベルの暴挙であった。
そんな暴挙に出ようとする彼女に、扉を挟んだ状態のアルスが「あーもうわかった!」と声を張り上げる。
「依頼は受ける! 君のその無茶苦茶な願いを叶えよう! それでいいだろう!? だから落ち着け! な!? ここで暴れたって何も良いことは無い! ──暴れれば暴れるだけ、人に戻れなくなる……! それでいいのかユリアス!!」
「人で無くさせてんのはアンタらでしょうがぁ!! 何を諭すような事言ってるんですか!? 元はと言えばあなたが私の依頼を断るからこうなったんですよ!?」
「依頼を断った程度でそうなるオマエもおかしいってことに気が付こうな? 殺すぞ?」
「ドラコさんは語尾に『殺す』をつけないと死んじゃう病気にでもかかってるんですか……!?」
「ドラコはティラノ剣山系女子だから」
「そんな系統の女子いてたまるか!」
「オマエは殺すわ」
──とまぁそんなやり取りをしつつ、最終的にドラコがアルスをボコり、半ば強制的に話を終わらせる形となった。(終わってない)
かなりの力技ではあるが、こうでもしないと話が一向に進まない為仕方ない……と、ドラコは自身の暴力を正当化する為の言い訳を脳内で溢した。
とは言え、まだ問題は残っている。その場を凌ぐためにアルスが、ユリアスの願いを「叶える」と言ってしまった以上、嫌でもユリアスの願いを叶えなくてはならない。
「……落ち込んでもいられないか。私自身が『叶える』と言ってしまった。のであればそれを執行しなくてはならない。それが夢叶代理人に課せられた使命であり、呪いなのだから」
アルスは立ち上がり様にそう呟いたが、依頼人であるユリアスまでは届かず、「とりあえず中に入れて貰えません?」と図々しく言ってきた。
アルスは思う。「この女リュウトとか言う男に負けねぇかな」、と──
「いやメインヒロインが負ける訳ないじゃないですか。ほらもう夢叶代理人の使命とか呪いとかどうでもいいからリュウトとか言うチン●ス野郎をぶっ飛ばす方法考えてくださいよ」
「死なねーかなこの女」
「オマエも段々とキャラ崩れてきてんぞ……」
ドラコが今更なことを呟くが、ユリアスに対する発言は全て無に帰すので何を言っても無駄であった。
ただ一つわかるのは、アルス達は嫌でも彼女の願いを叶えなくてはならなくなった、という揺るぎの無い事実だけである。
彼女の願いと、それを叶えると言ってしまったアルス。
それは呪いのように結びつき、願いを叶えるまで離さない。
何かの拍子に間違って呪い解けねーかな──なんて甘い事を考えるアルスだったが、この職についてからそんな事態に一度として遭遇しなかったらことを考えると、それを望むよりかは依頼人の願いを叶えた方が確実である、と諦めた。
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