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気になるあの子
2月
冬真っ只中であり、朝の天気予報では毎日のように「氷点下○℃」と、信じたくないような温度を伝えている。
布団から起きる気持ちが失せるような、気象予報士の声を聞き終えると、
俺は渋々布団から体を起こし、荷物を持ってリビングに向かった。
「お、今日はちゃんと起きたな」
「朝ごはんできてるわよ」
父と母はいつもどおりの様子だった。
元々東北生まれだったという、父母はやはり寒さに強いのだろうか。
「早く、食べちゃいなさいよ。遅刻するわよ」
「わかったよ‥うう、寒い」
エアコンが効いている部屋ではあったが、体温のぬくもりによって暖められていた布団と比べると、寒さが身に沁みた。
だが、母の言う通りこのままダラダラ食べていたら遅刻するため、急いで口に流し込んで、家を飛び出した。
ーーーー放課後
学校はいつも通り、特に代わり映えもしなかった。
友人とくだらない話をして、授業も適当に受けて‥いつもどおり終わった。
帰り道、友人と話しながら帰りつつ、俺はTwitterを開いていた。
すると、とあるツイートが自分のタイムラインに流れてきており、目についた。
「へー‥こういうの好きなんだ」
ふと、独り言をつぶやくと、前に歩いていた2人の友人が振り返り、
俺の方に歩み寄ってくる。
「何見てんだ?」
「え、あー、なんでもねえよ」
「独り言かよ‥隠してるな、教えろよ!」
二人の友人の連携プレイを前に、スマホを奪われる。
友人が開いた画面には、Twitterにてとあるアカウントのツイート画面だった。
そのツイートとは、とある企業の人気マスコットキャラクターのぬいぐるみが発売されるという内容だった。
それを、そのアカウントは引用リツイートしていており、
「かわいい‥‥この子、ほしいなあ」
とツイートしてあった。
「お前、このアカウントの子知ってるの?クラスの女子?」
友人に聞かれると、油断した手からスマホを奪い去り、少しため息をつく。そして間を開けずに、否定をした。
「違うよ、昔からの知り合いだよ。幼馴染がいるって言っただろ」
「あー、その子か。‥へぇー、Twitter見てるんだな」
何やらニヤニヤしてこちらを見つめ始める二人。
だから、絶対に茶化してくると思ったから言いたくなかったんだ。
ムキになって言い返すと、かえって面倒だと思った俺は二人の質問攻めを無視しながら、そのまま帰ることにした。
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