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絵璃は鈍すぎた
「う、うん。いいよ。」
「すみません。杏奈さんが聞いてとおっしゃっていたので。恋兎くんが好きな人の好きなところはどこかということなんですが…」
流石に戸惑ってる。好きな人がいないっていうパターンもあるしね。好きな人と付き合えなくても恋兎くんにはたくさん代わりの女子がいるけど。
少し迷ったあとニコッと笑ってこう答えた。
「他の女子に比べてとても物静かで、いじめにも耐えて、絵を書いてるときの真剣な顔がすごい綺麗なところかな。」
「う…」
これ絶対杏奈さんじゃないよね。それにしても、、、
「そんな人いるんですか?かなり気が合いそうな人ですけど。一度あってみたいですが流石に恋兎さんの好きな人特定はいけませんもんね。でも、どうしましょう。」
「な、なにが?」
「多分恋兎くんが好きな人が杏奈さんの性格と全然似ていなかったら杏奈さん怒っちゃうと思うんですよね。」
一番問題はそこだ。あと、こんなに詳しく言ってるんだからすぐに杏奈さんが特定しちゃいそうだし。あいにく私はわからなかったけど。
「じゃぁ、作っちゃったらいいんじゃない?」
「あ、その手があったか。恋兎さんが言った好きなところを細工して杏奈さんの性格も入れちゃったらいいんですか!絵を書いてるところ、はないからいつも杏奈さんがしていること。私としては――いえ、何でもありません。」
思わずいつもしていることと言ったら私をいじめることって言っちゃいそうだった。恋兎くんも首かしげちゃってるし。じゃぁ考えていきますか。
「ありがとうございました!恋兎くん。」
そのまま私は家に帰った。恋兎くんが言ったことを細工するために。
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