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きっと、普通ではないだろう。
「なぁ、NANA、僕はストーカーなのか?」
「……」
NANAは一ミリも身体を動かすことなく暖かな陽射しを全身に受け止めスヤスヤと眠る。
「ふっ……」
僕の話には興味がないのだろう。ただ、こうして瞳を閉じ僕の隣で眠るNANAを見つめていると、とても癒される。僕の存在に興味がないNANAだが、少なくとも警戒はしていないのか、不意に寝返りを見せたと思うと無防備にお腹を天に向けた。
彼女の姿の消えた店先、あの日からもう二ヶ月。女々しい男のように繰り返す日々。
『抑えきれない気持ちを伝えたい――』
そう思う都度心で感じるのは、再び映るモノクロームの世界。
『僕なんて……、
付き合う事が出来ても、デートに誘う経済的な余裕に時間などない。そんな男が相手になどされる訳ない』
辿り着く恋の化学式の解答は、いつもこうだった。
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