二、裏通りの情事 ー陶芸編ー

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「ああ…ごめん。友達ってことで割引してもらってるからそこは友達っぽくしてみた」 「ああ、なるほど」 そう答えながら手で鼻先を拭ったら和泉さんがちょっとじっとして、と言う。 「今度は理世ちゃんに、ついた」 「えっ、どこどこ?」 慌てた私に和泉さんは待ってて、と手を洗うとジーンズからハンカチを出して私の顔に近づけようとした時、峰先生が私の目の前に簡易式のおしぼりをすっと差し出してくれた。 「鼻先だよ。よかったらこれを使って。来客用に用意しているのでどうぞ」 「ああ、すみません。ありがとうございます」 「それと。二人とも仲良しなのは結構ですが、ぜひ手を動かしておしゃべりして下さい」 先生親切だなあと思いながら和泉さんと肩を竦めて微笑み合った。 鼻先の土をおしぼりで拭き、改めて目の前の陶土に向かい合う。 両の指先を垂直に立ててそうっと上方向に動かして土を作りたい器の形にしてゆく。手つきが通い始めた最初の頃と違って随分と様になったと信じたい。 「いい手つきだね」 峰先生に褒められて、頬が緩む。そんな私の様子を先生が満足そうに、そして和泉さんは心配そうに見つめていた。
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