9人が本棚に入れています
本棚に追加
気が付くと、目の前は閉ざされていた。
吾輩は何かに覆われ、包み込まれているようだ。
うっすらと温かい。
物音はするが、賑わいはなかった。
吾輩が生まれた工場でも、並べられた用品店でも、猫の店でもないのだろう。
今までにない気配であった。
壊れたオモチャが如何様に処分されるか、吾輩は知らない。
これが初めての体験である。
折れた辺りにある違和感が、これから待ち受ける最期の時を予感させる。
いよいよ、年貢の納め時という訳だ。
折るでも砕くでも、好きにするがいい。
最初のコメントを投稿しよう!