吾輩は猫じゃらしである

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 そう覚悟を決めた折、光が差した。  吾輩を包んでいた何かが取り払われたのだ。  眩しい光だが、大きな影がそれを一部、遮っている。  間合いが詰まり、吾輩に落ちる影も濃くなっていく。  そして、ざらざらとしたものが、吾輩の柄を撫でた。  不思議と、覚えのある感触である。 「大丈夫そう?」  聞いたことのある声がした。  ハルカの声だった。  次いで、のんびりと猫が鳴く。  この声は、もしや。
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