吾輩は猫じゃらしである

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 ざらざらが遠ざかると、黒い影が黒い猫へと変わっていった。  このふてぶてしい目つき。  間違いなく、やつである。  ネコタロウの満足げな鳴き声に、ハルカは 「そう、良かった。でも、もう噛んじゃいけないよ。次に噛んだら、またハンカチにくるんで隠しちゃうからね」  と、猫の言葉がわかるような素振りで応え、手に持った物を机に置いた。  そこに置かれたのは、テープだった。  吾輩の身は、同じ机上に敷かれたハンカチに横たえられ、折れた柄と柄がテープで巻かれ、繋ぎ留められていた。  これは、一体どういうことなのか。
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