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疑問符を浮かべるのを察知したように、ハルカがこちらを向く。
店でネコタロウを眺めていたのと同じ目が、吾輩を見た。
「君も今日からウチの子だよ。…まあ、この子がウチを気に入ってくれれば、だけどね」
傍らで寝転がっているネコタロウの頭を指で撫でると、ごろごろと喉を鳴らす音がした。
おまえ、そんなこともできたのか。
吾輩が驚愕していると、ハルカの指が、猫でもあやすようにテープの繋ぎ目を撫でた。
「それにしても、ずいぶん噛まれたね。よしよし」
にこにこと楽しそうな笑顔で撫でられるのも、話しかけられるのも、初めてのことだった。
当たり前だ。
吾輩は生きものではない。
ただの道具、オモチャである。
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