吾輩は猫じゃらしである

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 客は、名前をハルカといった。  店で最も若い店員より、さらに若く、遠い町から越してきたのだと、店主に話していた。  ネコタロウが近づいてきても、ハルカはにこにこと笑うだけで、自分から何か行動することはなかった。  撫でてほしそうに足に擦り寄られた時だけ、優しく頭を撫でてやるのみである。  風変わりな客の登場により、ネコタロウが吾輩を噛む頻度は、緩やかに落ちていった。
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