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「高校生みたいな嘘ついてんな」
「だって、結構うちの親は心配性なので…」
「まあ俺的には弥生の時間もらえんなら願ったり叶ったりだけど」
「稜さん、今日の夜以外予定ありますか?」
「金曜の夜に同期会がある」
「ならその日は寮に戻ってようかな…」
出来るだけ稜さんと一緒に過ごす時間を確保できるようにと、空港に迎えに行く前に数泊分の荷物をまとめてきた。
だが今回の稜さんの帰国は、GW休暇を越えてからも一週間ほどは定例報告のために研究所に留まる必要があるので、滞在期間はトータルで二週間だ。
「さすがにそれには色々足りないので…」
「確かにな、なら金曜は寮帰る?」
「…はい」
今の荷物じゃさすがに心許ない。
わかっているのに、頷くのを躊躇してしまう。
二週間の滞在期間の間のたった一日を離れて過ごすだけだというのに、途轍もなくそれが寂しく感じる。稜さんがまた渡米したら私は寂しさで死ぬのかもしれない。
「…自分から言い出して泣きそうな顔すんなよ」
「すみ、ません…」
「それかもし弥生が面倒じゃないなら一回帰ってからまた戻ってくる?俺はそんな遅くまで同期の飲みなんか付き合う気もないし」
「良いんですか?」
「弥生がいるのはもちろん大歓迎ですけど?」
「ならそうします!」
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