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我ながら単純で、笑ってしまう。
そんな私を見つめる稜さんも、同じように笑って頭をわしゃわしゃと撫でてくれた。犬でも可愛がるようなその仕種にさえ嬉しくなるなんてどうかしている。
「今夜は誰と飲みに行くの?」
「今日は同期の仲良いメンバーで集まる予定で」
「弥生って友達多そうだよな」
「そうでしょうか?」
特に気にしたことはないけれど。
昔から社交的でも内向的でもないタイプだと自分では思っているけど、言われてみれば今まで交友関係に悩んだことはあまりない。
「物理なんて男ばっかだったろ」
「そうですね、昔からずっと共学でしたし」
「まじでその環境で今まで恋愛してこなかったとかお前どんだけ鈍いの」
「そんな言い方しないで下さいよ」
まるで私に欠陥があるみたいじゃないか。
恋愛がなくとも何不自由なく生きてきた身としては、昨今の恋愛至上主義的な思想には意義を唱えたいと常々思っている。
「そういうこと言うからモテねえんだよ」
「別にモテなくても特に困りません」
「まあ俺的にはそっちのが有難いわけですけど」
「稜さんはモテましたよね?」
「いやどうせ毎度見掛け倒しって振られるし…」
「今まで何人彼女いましたか?」
「そんなん聞きたいか?」
嫌そうに稜さんは表情を曇らせる。
そう言われると、正直半分怖いもの見たさだ。
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