Collaboration

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稜さんの二度目の帰国は七月だった。 鮮やかな新緑を掻い潜って恋しい体温に触れる。 意外と頻繁に帰って来てくれることに頬を緩ませながら、私はビジネスホテルの一室で、ちょっとしたおねだりを決行していた。 「友達とその彼氏?」 「はい、一緒に飲みたいねって言ってて」 「俺、過半数知らない奴じゃん」 案の定、渋い顔をする稜さんに食い下がる。 先日葉月と飲んだ時、ちょうど稜さんの帰ってくるタイミングと時を同じくして、葉月の恋人も帰国すると知り、それなら一度お互い会ってみたいねと話題が流れたのだ。 「気ぃ遣って疲れんだろ、そういうの」 「なんか破天荒?な人らしいので大丈夫ですよ」 「絶対俺と相性悪いじゃんそれ」 「でも帝和重工で最年少社内表彰者らしいです」 「めちゃくちゃ優秀じゃねえかよ」 破天荒なのに優秀なのかよ、と眉を顰める。 仕事終わりの着崩したスーツ姿の稜さんが咥えた煙草の先に火を点けた。ビジネスホテルらしい室内は、デスクとベッドがある以外は殺風景で、私と稜さんの荷物だけがぽつんと部屋の隅に捨て置かれている。 「ダメですか?」 「てかもう友達と約束してんだろ?」 「明日だったら向こうも稜さんも暇だから狙い目だねって話してて」 「もう行く気満々じゃん」 仕方ねえな、と浅いため息をつく。 それから私を抱き寄せた稜さんは「そんなに愛想よく出来ねえぞ」と呟きながら、煙草臭い唇を顔中に押し当ててくる。
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