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2. ENTRANCE
「エイミー! 早く起きて!
早く行かなきゃ! 急いで、急いで!」
エイミーは、急かされるように起こされた。
まだ眠い目を擦りながらベットから起き上が
ると、青空へ向かって大きく開かれた窓から、
一瞬、ビュンと強い風が吹き込み、カーテンが
バタバタとなびいてエイミーの眠気を一気に
吹き飛ばした。
「そうだ! 早く行かなきゃ」
エイミーは慌てて着替え、走って外へ出た。
そこには、大きな木が一本立っていて、真っ赤
に色づいたリンゴの実を沢山つけていた。
そして側には、美しいエメラルド色をした
大きな湖があり、その水面に真っ白な白鳥の
群れが、太陽の日を美しい羽に浴びながら
舞い降りた。
― ENTRANCE ―
どこからか、風のような、
しかし、しっかりとした声が
エイミーの耳を通り過ぎていった。
足元には小さな入口があり、
白とピンクの白爪草がそっとその周りを囲む
ように咲いている。
エイミーは身をかがめて穴の中を覗き込んだが、中は暗くてよく見えない。
降りる為の階段も見当たらない。
「ここを降りるの?」
周りに咲いている白爪草たちに尋ねるように
呟くと、ピンクの白爪草が、エイミーに答える
ように小さく揺れた。
すると、エイミーの体はシャボン玉に包まれた
かのようにゆっくりと浮き、そのまま滑るよう
にその穴の中へ入っていった。
「わー。不思議、体が浮いてる!」
すると、だんだんジェットコースターのように
加速がつき始め、エイミーの高い叫び声も一緒
に包み込みながら下へ下へと落ちていった。
そして、突然、目をくらますような強い光が
差し込み、次の瞬間、エイミーの体は空中で
放り出され......
―― ズドン ――
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