EPILOGUE

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「お前は来週から一週間何すんの?」 「月から水曜までは新しい部署で色々向こうの引継ぎして、木金は有給取りました」 「見送りの準備万全だな」 もちろんです、と頷くと、咥え煙草のまま笑う。 風に舞う紫煙は少し愉快気だった。 「俺は幸せ者だな」 「今さら気付いたんですか?健気な部下にきちんと感謝してほしいですね」 「はいはい、ちゃんとしてますって」 テラスの柵に頬杖をついて、のんびり呟く。 見慣れたスーツ姿は、今さら改めて見たって様になっていて、悔しいくらい格好良い。 「結構好きだったな、ここの景色」 「こんな殺風景な工場地帯が?」 「NASAのロケット発射台だって周りは殺風景なもんなんだぜ?」 またロケット?と肩の力が抜けてしまう。 最後の最後まで、彼の頭の中はそれ一色らしい。 恋愛中の愚かな私はそれに嫉妬にも似た拗ねた気持ちを抱きながら、他に誰もいないのをいいことに、軽く体をぶつけた。 「あ?なんだよ」 「GWには帰ってくるんですよね?」 「なにお前、離れる前から寂しいの?大丈夫?」 「人のこと言えるんですか?」 生産性のない意地を張り合う。 大人げなくて、滑稽で、でも不思議と楽しい。 瞬さんの隣でそんな風に過ごす時間が心地いい気すらしてきている私は、最近はもう彼の前で変に背伸びをするのをやめた。
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