Shuttle.01:銀河

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Shuttle.01:銀河

アンドロメダ銀河は拡張している。 我々の住む地球のある天の川銀河に時速二十五万マイルの速度で接近し、そして今から約四十憶年ほど先、このふたつの壮大な銀河系は衝突すると見られている。 現時点ではふたつの銀河は一度お互いの存在をすり抜け、通り過ぎたあとで再び重力によって引き戻されると予測されている。 そしてそれらは約二十億年の時を掛けて巨大な楕円銀河を形成するか、はたまた巨大な円盤銀河のどちらかを形成するだろう。 その時の地球の命運はまだわからない。 銀河が合体する前に太陽系が天の川銀河系から弾き出されることがあれば、アンドロメダ銀河に組み入る可能性も残っている。 しかし確実にわかっていることは、このふたつの巨大な銀河系が衝突し、融合するその瞬間の夜空は実に美しく壮大な光景を濃紺のカンバスに描き出すだろうことだ。 だが人類がその光景を目にすることは叶わない。 人類どころか地球上の生物は等しく。 その頃にはエネルギー不足に陥った太陽が金星の軌道に達するまでに膨張し、地球は水星同様の灼熱の星となっている。 故にその混沌としながらも光り輝く美しい宇宙の営みを、あまり高性能とは言えない私たち人間の虹彩が捉えることはない。 なんて不運だろうと思った。 手の届かない夢なんて、ただの地獄なのに。
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