EPILOGUE

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「揶揄わないでよ…」 「不慣れで可愛いよなあ、香坂って」 「馬鹿にしてるんでしょ」 「進藤さんが忙しくなって香坂のこと放っときだしたら俺の出番かな」 「嫌な未来の予想しないで」 現実になりそうで怖いのよ、それ。 瞬さんのことを信じると決めたけど、彼の凝りすぎるところのある性分も知っているので、不安が消えたわけではない。 「俺もそろそろ彼女作ろっかなー」 「貴志くんならすぐできるよ」 「お、ちょっと惜しくなってきたんじゃね?」 「それはない、絶対」 わざと意地悪く大袈裟に否定してやると、屈託のない表情で楽しそうに笑った貴志くんは「やっぱダメかぁ」と呟いた。 𓂃𓂃𓍯𓈒𓏸𓂂𓐍◌ 𓂅𓈒𓏸𓐍 華の金曜日の今日、瞬さんは去年まで所属していた人工衛星部門で仲の良かったメンバーたちが送別会を開いてくれるそうで、今日の帰りは遅くなると言っていた。 最近点数稼ぎに、ひとりの時はほとんどしていなかった自炊を始めてたんだけど、今日は休業だ。 「うま」 サッポロ一番は味噌が美味しい。 上機嫌に独り言を呟きながら床にぺたんと座る。 ラーメンを啜りながら動画サイトで海外ドラマを見て、洗濯物を畳んだりお風呂に入ったりと、自由にひとりの時間を満喫する。 かれこれ瞬さんと一緒に住んで三日が経った。 まだ特に嫌なことや生活上の不便もなく、私の方は楽しく一緒に暮らしているけど、こうしてひとりでゆっくりと過ごすのは随分と久しぶりな気がする。
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