EPILOGUE

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独身寮でのひとり暮らしも三年目に差し掛かると色々と板について来る。ひとりの生活に寂しさを覚えたのも最初の夜ぐらいのもので、あとは気楽さの方が勝った。 そんな無意味に逞しいことを考えながら、お風呂上がりに買ってあったビールを飲んで、海外ドラマの続きを見ようとしたところで、玄関のドアが開いた。 「あー…、やっぱ日本がいいわ」 瞬さんは帰ってくるなりしみじみとそんなことを呟きながら、スーツも脱がずに抱き着いてくる体からはお酒の匂いがした。 「ちょっと、酔ってるんですか?」 「ビール文化最高だわ、ロシア人すぐウォッカ飲ませてくるもん」 「知りませんけど…」 顔色はまるで普段と変わらないくせに、表情だけが若干とろんとしている。初めて見るほろ酔いの瞬さんをまじまじ観察していると、濡れた唇を押し付けられた。 遊びみたいな軽いキスはすぐに離れてゆく。 無防備に笑う顔に覗き込まれた。 「寂しかった?」 「そんな数時間離れたくらいで」 「こういう時は嘘でも寂しかったっつって甘えんのが女の作法だろ」 「ほんと勝手なこと言いますね?」 何様のつもりなんだ、と呆れ返った。 だがそんな私の白けた顔には興味がない様子の瞬さんは、鬱陶しそうにネクタイを解き、「俺も飲み直そっと」と言って冷蔵庫からビールを出してくる。
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