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「わあ!」
すごい豪華!と葉月がはしゃぐ。
それを微笑ましく思いながら、室内を見回す。
友人が貸してくれた別荘はさすが中国の金持ちの別荘なだけあって、どこもかしこも豪奢な装飾で飾り立てられていた。
何人用の料理を作る気かと思うほど大きなオープンキッチンに、広々としたリビング、緑の茂る庭には大きなプールまであって、思わず成金かよと呟いてしまった。
「瞬さん、運転とフライトで疲れたでしょう?」
「大丈夫って強がりたいとこだが、さすがに半日以上座りっぱなしは腰にくんな…」
「良ければ先にお風呂入って来て下さい」
夜ごはんは私が準備しておくので、という葉月の申し出に今回ばかりは甘えさせてもらうことにして先に風呂に入った。
風呂も風呂で大きな浴槽は多分ジャグジーなのだろうが、泡が浮いたところでテンションも上がらないので湯だけ溜めることにして、さっと入ってしまう。
「お、牛丼?」
「さっと食べちゃえた方がいいでしょう?」
「ああ、助かる」
正直今にも瞼が落ちそうだ。
でもそれと同じぐらい猛烈に腹も減っている。
風呂上がりの濡れた髪をガシガシと拭きながら下だけスウェットパンツを履いただらしない格好の俺を、葉月は日本で一緒に暮らした二週間のうちに見慣れたらしい。
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