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「ん、美味しい!」 「なんかふたりでBBQってのもだけどな」 「そうですか?楽しいですよ?」 俺に微笑み掛ける葉月の笑顔は心から楽しそうに見えた。それに安堵しながら、食べる時に垂れたタレを気にする葉月の口元をティッシュで拭ってやる。 五月初旬の軽井沢はまだ初夏というにも早いほどに涼しくて、こうして外で火を焚いていても汗ばむこともなく快適に過ごせる。 五月晴れの気持ちいい空の下、気軽なスウェットにハーフパンツ姿の葉月が肉を焼く担当、俺は火加減を調節しながらその周りで肉を食い酒を飲む担当だ。 「でも本当に何でもありますね、ここ」 「ちなみに望遠鏡もあるらしい」 「嘘!なら夜は天体観測できるんですか?」 「今日は夜まで晴れらしいぜ」 ストックホルムに留学した院生時代に一緒だったその友人もロケット工学専攻で、趣味はキャンプと天体観測な男だ。 もしかして、とダメ元で尋ねてみたところ最新鋭の天体望遠鏡をここにも置きっぱなしにしてあると得意げな顔をする友人に、今回は僻みより感謝が勝った。 「嬉しい!軽井沢なら肉眼でも綺麗だろうけど望遠鏡あったらなって思ってて、でも寮から運んで来るのはさすがに重くて無理だしって諦めてたんです!」 「わかったからはしゃぐな、焦げてる」 「わ、ほんとだ!」 焦げてる!と上機嫌な葉月がうるさい。
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