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星のことになると普段の淡々とした様子が嘘のみたいに、新しいオモチャを買ってもらえるのが嬉しくて堪らない子供みたいにはしゃぐ葉月は贔屓目抜きに可愛い。
「気楽でいいな、こういうの」
「本当に!普通の旅行だとこんな長期休暇じゃどこに行っても人混みだらけでうんざりしそうですもんね」
「連れの家の別荘制覇しようぜ」
「人の家の別荘使い倒す気の友達最低ですよ」
「金持ち寛大だから大丈夫だろ」
窘めてくる葉月に構わず俺も肉を頬張った。
こんなシチュエーションのおかげか普通にその辺のスーパーで売っている肉だが、なんだか今日は特別美味い気がする。
「でも本当に嬉しいです」
「葉月は絶対喜ぶだろうなと思ってた」
「はい、ねえ、私にも下さい」
「ほい」
皿の上にある中から今度は帆立を持ち上げる。
それに葉月が食いつこうとした時、ちょうど強い風が吹いてポニーテールにまとめられた髪がタレの中に入ってしまい、それに大袈裟な声を上げるのに笑った。
「う、わあ、最悪」
「何やってんだよ、鈍臭ぇな」
「だって風が急に吹くんですもん…」
「あ、動くなよ、服汚れんだろ」
とりあえずテーブルに皿を置いて、手近にあったウェットティッシュの箱を取り上げた俺は、それで葉月の髪を拭った。
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