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前半の二泊三日で軽井沢に滞在したあと、残りの三泊四日は東京に戻ってホテルで過ごす予定にしている。白状すると東京に戻ってからの予定は完全に白紙なんだが。
「東京戻ったらしたいことある?」
「私ね、瞬さんの地元とか行きたいです」
「俺の地元?別に来てもいいけど案内できるほどの名所もねえよ?」
「瞬さんの通ってた小学校とか見たいです」
「…そんなん見たいのか?」
極々普通の公立小学校だけど、と首を捻った。
中学からは中高一貫の私立に進んだので地元にあるのは小学校ぐらいだが、今はセキュリティも厳重だろうから中に忍び込むようなことも出来ないと思う。
「いいんですよ、外から眺めるぐらいで」
「来たいなら別にいいけど、まあなら夜に横浜でも寄ってくか」
「中華街も行きたいですね!」
「GWなんか死ぬほど人多そうだけどな」
初めてのデートの時の反省を生かして、他にも行きたい場所の候補を用意してきたらしい葉月の口からは次々に案が出てくる。
さすがこういうところが優秀だよな、と偉そうに断じる俺はと言えば、正直それどころじゃなくて何も用意していない自分を今回ばかりはさすがに反省した。
𓂃𓂃𓍯𓈒𓏸𓂂𓐍◌ 𓂅𓈒𓏸𓐍
春の星座を辿るなら、旅の出発点は北斗七星だ。
柄杓型のおおぐま座。
毎度一体どう見たらその星座の形に見えたんだと突っ込みを入れたくなるけれど、傍で葉月が楽しげに望遠レンズを覗き込んでいるので水を差すのは遠慮する。
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