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翌日は宣言通りにお店を訪れた。
そんな私を、店長が朗らかに出迎えてくれる。
「やあ、昨日ぶりだね」
「あんなところで会うなんてびっくりしました」
「僕も驚いたよ、格好良い彼氏を連れてるんだと思ったのに、違うんだね」
「甲斐くんはただの同期なんです」
私なんか相手にされませんよ、とカウンターに腰掛けながら言うと、コースターを出してくれた。
最近お酒の種類をちょっとずつ覚え始めてきた私はメニューを眺めながら、明日もお休みなので今夜は少しだけ飲もうかなと思案する。
「お似合いだったけどねえ」
「でも悪い気しないですね、イケメンとお似合いだって言ってもらうの」
「案外俗物だよね、成宮さんって」
わ、と思わず椅子の上で身を引いた。
最近はちょこちょことお店で顔を合わせる機会が増えてきている朝倉さんが、身軽な格好で私の背後に立っていた。
「朝倉さん、いらしたんですか?」
「あんた、最近この店に俺に会いに来てるってか爺ちゃん目当てに来てない?」
「え、そんな、ことは…」
ない、とは言い切れずに言葉尻が萎む。
当然ながら、不定期にしかお店にいない朝倉さんとは違って店長は顔を出せば必ずと言っていいほど店に常駐している。
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