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1.魔王様の執事
ここは俗に言うRPGの世界。
その中の魔王様とその執事の話。
「魔王様。起きてください」
毎朝魔王様を起こし、朝食を食べる。
「うるさい」
ここもいつもの…いつものながれである。
「はやく。今日も仕事はたくさんあるんですよ」
「ん"~」
何度も起こし続ける。
「魔王様…?」
「わかった今起きる」
今日だけで20回起きろと言った。魔王様は朝に弱い。
「今日の朝食はゴブリン肉のハンバーグ作りますけど食べれます?」
「やだ。あれまずい。」
…そして魔王様は食わず嫌いだ。
「じゃあ今朝はパンケーキにしますね。」
「ん!やった!」
魔王様は"魔王"という立場を持ちながらもパンケーキが大好物で、時折可愛い一面を見せる。今もまさに犬耳にしっぽが生えたように見える。
「魔王様、トッピング、ベリーでよろしいでしょうか?」
「うん!」
ここには自分と魔王様しかいない。
みんな魔王様を怖がって逃げていく。こんなにも可愛らしい方なのに。それでも、こんな魔王様を独り占めしたいという矛盾した気持ちがある。
そんなこんな考えてる間にパンケーキができた。
「はい魔王様。今日は特別に高い木苺のせときました。」
「まじ!?最高!」
ああ。今日もやっぱり
「可愛い」
「可愛いよりかっこいいだろ。ばか」
そういうとこも愛しくて仕方ない。みんながこれを知ったら、魔王様を倒そうとする人なんていなくなると思うのに。
「魔王様、今日隣町を襲撃しなきゃいけないんですけど、大丈夫ですか?」
「うげっ…」
あからさまに嫌な顔をする。当然だ。嫌われ役なんだから。
でも、自分たちにも生活がある。食料やら日用品やら色々必要なのだ。そこで、仕事をするわけだ。どうやらこの世界では、勇者が村を救うとその村は繁盛するらしい。勇者をおびき寄せるために、村長は自分たちを使う。まず、姫を生贄にする。それから村長は自分たちに食料や日用品を調達。別に姫に酷いことをするわけじゃない。ただ勇者がくるまで一緒に過ごすだけ。それでも魔王様は悪役のレッテルを貼られ、毎回勇者からの攻撃をくらい、痛い思いをするのだ。
「まあ姫の世話は自分がしますし、できる限り負担は減らします。」
「あれ痛いんだよなあ…。行きたくなあい」
「…はあ」
魔王様は聞きわけが悪いところがある。そういうところもひっくるめて好きなんですが。
「パンケーキ、食べれなくなっていいんですね?」
「…やだ」
「じゃあやりましょう」
「…うん」
こくんと頷く魔王様。子供っぽくて可愛いけど、少しはしっかりしてほしい。
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