異世界恋愛譚

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九条李紅(くじょう りく)(28) 彼女に振られ仕事も会社が不景気に煽られ倒産。親も早々に他界して絶賛孤独街道まっしぐら。 料理も下手でもっぱらコンビニ弁当やカップ麺での生活で、手料理なんていつ以来食べてないだろうか…トーストをオーブンで焼くのはワンチャン手料理と呼んでいいなら毎日食べてるけども。 激安アパートの二階角部屋に住んでいて、夜なんか隣の夜の営みの声で抜いたりしていたりする。まぁ言わずもがな虚無感にかられるんだけれど。 「はぁ…」 夜にスマホが鳴り、慌てて電話に出れば受けた会社は見事に受からずスマホを畳に投げ出した。昔懐かしのちゃぶ台を俺は未だに愛用していて、座布団なんかも使っている。 ワンルームでトイレと風呂付きで、ベッドなんかは無く敷布団で寝ている。とにかく安い部屋で金を貯めようとしたのが間違いだったのか…?友達もなくスマホは会社とのやり取りに持っていただけだし、本当に孤独で今死んだら腐るんじゃないだろうかなんて思う。 「はぁ…あーなんも無い…」 ビールなんかも無く、小さめの冷蔵庫には申し訳程度のおつまみがあるだけなので俺はコンビニへ向かった。とりあえず財布と鍵だけを持って歩いていれば母親と一緒に歩いていた幼い少年が道路に飛び出す。 母親はスマホに夢中で俺が振り返ればトラックが走ってきていて舌打ちをして少年の元に走り寄り抱きあげればクラクションが鳴り、次の瞬間体に激痛が走り意識が遠のいていった。
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