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鳥のさえずりで目を覚ませば同じ天井で、良い匂いに気付いて何とか起き上がって匂いの元を見れば卵がゆのような物がベッドサイドのテーブルに乗っていた。
恐る恐る置いてあったスプーンを手に取り、少し冷めかけているそれをゆっくり掬い口に含んだ。卵の甘みとわずかな塩味を感じ、少しだけとろみをまとったそれはとても美味くて俺は頬に何かが流れるのを感じて触れてみる。
どうやら俺は泣いているようで、鼻をすすりながらそれを完食してゆっくり息を吐いた。美味かった。すごく久しぶりにこんな美味いと思う飯を食った気がする。
「泣くほど美味しかったんだ」
「あっ…」
嬉しそうな声がしてそちらを見れば先程?のトカゲ男が居て手にはカップとティーポットを持っていてトレーの上に空のカップを置いてから茶を注いでくれた。
「ここは…日本の東京…だろ?」
「にほん…とうきょう…?聞いた事ないな。ここはヴァーシハル大陸のユティアっていう国だよ?」
「そうか…」
どこだよそれそっちの方が聞いたことねーよ。とりあえず茶を飲めば普通の緑茶の味がする。チラと見ればニコッと嬉しそうにしていて、枕を投げつけた事にチリと胸が痛んだ。
俺が食べ終わると肩に触れてきてゆっくり俺を押し倒して布団をかけてくれた。冷たい手…前足?なんて言うんだあれ…俺を撫でてくれていた手はあの手では無いだろう。
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